家庭菜園研究家のもぐみん(@agrimichi)です。
家庭菜園初心者向けに、畑を借りる方法をまとめました。
実際に家庭菜園に取り組んでいる経験から、初心者が失敗のない畑の借り方をお伝えしています。

家庭菜園で畑を借りるには
この記事にきてくださった貴方は、きっと「家庭菜園を始めたい」あるいは「プランター栽培だけでなく、広大な畑で野菜を作ってみたい」という想いを持っておられるはず。
しかし実際畑ってどこで借りるんだろう‥ と途方にくれていませんか?


広告や新聞、TVなどで畑を借りる情報が出ることってあまりないですものね。
一体どうしたらいいかというと‥
ずばり家庭菜園で畑を借りたいならば、市民農園(貸し農園)の畑を借りることになります。
一般に市民農園とは、サラリーマン家庭や都市の住民の方々がレクリエーションとしての自家用野菜・花の栽培、高齢者の生きがいづくり、生徒・児童の体験学習などの多様な目的で、小面積の農地を利用して野菜や花を育てるための農園のことをいいます。
このような農園は、ヨーロッパ諸国では古くからあり、ドイツではクラインガルテン(小さな庭)と呼ばれ、わが国では、市民農園と呼ばれるほか、レジャー農園、ふれあい農園などいろいろな愛称で呼ばれています。
こうした小面積の農地を利用したい人が増えていることから、自治体、農協、個人など多くの方々が市民農園を開設できるようになっています。
市民農園とは、開設者が農地を利用して個人に畑を貸し野菜や花を栽培してもらう・あるいは直接指導により栽培を体験してもらう農園のことです。
市民農園の開設には農地法に基づく手続きが必要。
開設者は自治体・農協・農家・非農家個人・企業とさまざまです。
よって農園形態もバラエティに富んでいて、料金にも開きがあるというわけ。
形態は大きく分け
・日帰り農園
・滞在型市民農園
があります。日帰り農園とは、借りた畑へ好きな時に赴き、その日に帰る農園のこと。
一方滞在型市民農園は、宿泊施設が併設されており、土日に泊まって農業体験する、あるいは長期滞在して野菜作りを堪能できる農園です。
両者がはっきりと分かれているわけではなく、どちらも可能な農園もあります。
そしてその他、併設施設やサービスも千差万別で
畑を借りてアドバイザー(指導員)がつくorつかない
畑を借りずに塾のような形で指導してくれる体験型農園
もあるため、一つの畑だけで判断するのではなく、しっかりと吟味して畑を借りることをおススメ。
以下、各市民農園の傾向や特徴をお伝えしていきます。
公営(自治体)・農協・NPO(非営利団体)
自治体・NPO(非営利団体)・農協が管轄する市民農園。
一概には言えませんが、比較的安価な農園が多いのが特徴です。
安ければ相応に水道やトイレ施設、駐車場等がないところもあるため、事前によく条件を確認する必要があります。
また、昨今は家庭菜園人気のため自治体によっては年ごとに抽選で当たらなければ借りられないということも。
地方自治体例:年間契約3000円・1区画30㎡・1人3区画まで・延長5年なし・水道・トイレ・駐車場・農機具なし
例のように区画が割り当てられ、借りられる区画の面積、延長年数なども各地域で異なります。
地域によってまちまちですが、自治体HPほか、秋から春先にかけて広報誌に情報が載ることが一般的。
農協も同様に広報誌に載ることがあるようです。ネット上などでも公募していない場合は、直接最寄りのJAに確認をとってみましょう。
私営(農家・企業等)
昨今、関東や関西などの都市圏では民間企業が畑のレンタルサービスを展開しています。
企業が展開する市民農園は、料金は高めですがトイレや水道・休憩所が準備されている事が多いほか、苗・農具・肥料まですべて用意されているケースも。
くわえて家庭菜園経験者による「アドバイザー(指導員)」付きが主流なので、初心者にとっては至れりつくせりといったところでしょう。
現状では関東・関西の都市圏を中心に「シェア畑」・「マイファーム」などが台頭しています。
また、個人農家or非農家が市民農園を開いているケースも全国各地であります。
体験農園という形でプロ(農家)が直接指導している農園もあるなど、それぞれ個人で形態・料金等はさまざま。
その他の方法
その他、もし畑を持っている農家等が知り合いであれば、口約束で畑の一部を借りて家庭菜園をする‥という方法もなくはありません。
ただし畑の管理の仕方などでトラブルに発展することもあるため、よっぽど仲が良かったり、やり方を教えてもらえるというのでなければ、初心者は市民農園を借りた方が無難です。
もっと広大な畑で農業を始めたい方は
もしもっと広大な畑を借りて農業を始めたい! となったらどうすべきなのでしょうか。
最初にちょっとかたい話になりますが、そもそも農地(畑)を借りるとはどういうことなのか、お伝えします。
農地を市民農園以外で借りる(or購入)する場合は、さまざまな条件がいります。
具体的には、3反以上の面積・農業活動を150日以上する・作付けや営農計画を各市町村に設置された農業委員会という組織に提出し許可をもらう・などの条件手続きが必要。
一般の土地の貸借・売買やりとりではなく、農地法に基づいて審査をクリアしなければならないというわけ。
詳しくは、自治体の農業推進課に連絡をとってみましょう。
市民農園(貸し農園)を借りる相場(値段)について
何と言っても一番気になるのが畑を借りる値段でしょう。
市民農園は地域・条件によってかなり値段が異なります。
さらに農園の開設者によって値段の付け方に差があるため、正確な相場となると難しいです。
極端に言えば無料のところもありますし、都心部であれば年間契約で数万するところも。
一般の賃貸同様、都市部でアクセスが良い場所ほど高価になる傾向で、さらに指導員や併設施設(休憩・トイレ・駐車場など)の有無で変わってきます。
一概には言えませんが、自治体が管轄する農園は安価な傾向にあります。民間企業は値段が高めですがその分手厚いサービスが受けられる傾向。
全国市民農園リストから各地域のおおまかな日帰り農園の相場をみると、地方では年間1区画20~50㎡・数千円で借りられる農園が多いです。

シェア畑・マイファームなどの民間企業の市民農園は現時点では関東・関西都心部に展開しており、だいたい年間1区画3~10㎡前後・数万円で借りられます。
例として、東京の人気スポット・世田谷区の日帰り農園の相場で・条件を比較してみましょう。
開設運営 | 1区画 | 料金 | 施設・サービス | |
シェア畑 | 株式会社アグリメディア | 3㎡
※場所により変動あり |
月6400円(入会金11000円) ※場所により変動あり |
・アドバイザー指導付き
・農機具・苗・肥料完備 ・誰でもOK ・期間縛りなし ・水場・トイレ・駐車場がある箇所が多い |
ファミリー農園 | 自治体HP(株式会社世田谷サービス公社) | 15㎡ |
約2年 22080円 |
・抽選
・区民限定 ・使用期間1年11か月 ・農機具・倉庫・水道あり・駐車場なし・トイレ一部畑のみ
|
民間企業運営の市民農園は他に比べると高価ですが、その分「手ぶらでいける(苗・肥料・農具等完備)・プロのアドバイザー付」とサービスが手厚いため、都心で気軽に始めたい人にとってはメリットも大きいでしょう。
月で換算すると数千円なので、ジム通いや他の習い事と遜色ない値段と捉えることも出来ます。
畑を借りる際のチェックポイント
畑を実際に借りる際には、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。
実際に見学にいき検討する際の参考にしてください。
市区町村外の在住者が利用できるか
市区町村内の在住者のみレンタル可能にしている農園があります。
公営や個人が開設者の場合、どちらかわからないので確認しましょう。
民間企業の場合は、在住地域関係なく借りれるところがほとんど。
農機具収納施設(農具)はあるか
市民農園によっては農具が完備されています。
クワのほか、シャベル、一輪車、水用ポリタンク等が置いてある農園もあります。
さらに支柱・マルチなどすべて完備しているところも。
場所によっては物置場に各々が道具を持っていくスタイルもあるでしょう。
ネット上で判断するだけでなく、道具の状態が良いか、見学して確かめると安心。
屋外に置いてあるものは、それだけ劣化が早くなります。
苗・肥料・堆肥場など
苗・肥料等も完備してある農園があります。民間企業運営の市民農園(シェア畑)では苗・肥料等も用意されています。
また、農家が直接運営する体験型農園などでは苗・資材等用意して指導するスタイルも。
堆肥場が併設されているところもあります。
指導員(アドバイザー)付き
指導員(アドバイザー)が常駐してくれる農園があります。
初心者にとって指導してくれる方がいるかいないかでは、上達がまったく違ってきます。
露地畑の環境はさまざまな要因が複雑に絡んで野菜の状態に出ます。
独学でやると本で調べるだけでも一苦労ですし、経験からしかわからないことも多いのも事実。
プロに習うのが一番ですが、家庭菜園ならば、経験者に教えてもらうのでも十分です。
休憩施設
休憩施設があるかもチェックしたいところ。
土を耕すと結構な運動量なので、初心者は休憩しながらやることになります。
特に夏場は暑さで熱中症になるリスクがかなり高くなるので、休憩場所があるに越したことはありません。
腰をかけて座れる椅子や、屋根付きで日陰があるのが理想でしょう。
トイレ
畑にトイレが併設されているかは重要なポイントです。
安価な農園はトイレがないことがほとんどでなので、しっかりチェックしておきたいところ。
ただし設置されていても、ボックス型の簡易トイレである場合が多いです。
障がい者・高齢者に配慮した施設
全国で数は少ないですが、障がい者・高齢者が使いやすいよう配慮された市民農園もあります。
障がい者用トイレ・障がい者専用農園区画・障がい者専用駐車場・スロープを用意している農園など。
近隣のお店・病院など
畑は思った以上に危険が伴います。特に昨今は温暖化で気温が高く、熱中症には十分注意しなければなりません。
よって飲み物がなくなった場合など、すぐに補給できるように近くにスーパーやコンビニがあるかを調べておくと良いでしょう。
農園によっては近くにないケースも十分にありえます。
また、万が一、蜂に刺される、蛇に噛まれる、クワでケガをするといった可能性もあるので最寄りの病院をチェック(あるいは救急車がすぐ呼べるよう農園住所を把握)しておくと安心でしょう。

駐車場
農園によっては駐車場がないところもあります。事前に確認しましょう。
給排水施設(水道)があるか
家庭菜園で最も重要なのが水道が通っているかどうか。
畑とはいえど、ナスや里芋などの野菜は降雨のみではしっかり収穫を望めないものがあります。
水分は栽培の要といっても過言ではないので、ぜひ初心者は水道設備のある市民農園で、水やりの感覚を掴んでほしいところ。
経験者であれば水道がない箇所で、降雨のみで十分育つ野菜を育てるのも良いでしょう。
家庭菜園初心者におススメの畑の選び方
家庭菜園初心者が畑を借りるときに、僕がオススメしたい判断方法をお伝えします。
まず、初心者にとって最も重要なポイントは、「身近にアドバイスしてくれる経験者がいるか」です。
まったくの初心者が畑で家庭菜園を始めるには、さまざまなハードルがあります。
道具をそろえる・農具の使い方・安全面(熱中症対策など)・肥料のやり方・病害虫‥
簡単なようで、身につけたいことはたくさん。
教えてくれる経験者が知り合いがいるならば、指導者なしの安価な市民農園でもありだと思います。
しかし身近にアドバイザーがいないならば、いきなり一人で畑を借りて始めるのはおススメしません。
何が失敗かもわからず、挫折してしまう可能性が高いからです。


もちろん僕のブログはおおいに参考にしてほしいのですが、クワの使い方だったり技術的な面は、やはり直接習ったほうがスポーツと一緒で覚えやすいのです。

土壌の状態や、以前どんな野菜を植えていたかを知っておくのも重要。
土を知ることで、肥料や堆肥を入れる量もかなり異なってきます。
畑の環境をよくわかっている人がいるのは心強く、野菜づくりの上達もしやすいでしょう。
よって僕がオススメする初心者が畑を借りる流れは
教えてくれる経験者がいる&手間を十分にとれる⇒安価な市民農園
教えてくれる経験者がいない&気軽に始めたい⇒アドバイザー付市民農園(シェア畑など)・農家直接指導の体験型農園
仕事が立て込み、毎週畑にいけるとは限らない多忙な方も、アドバイザー付や塾のような形の体験型農園なら続けやすいでしょう。



まずは無料見学に行ってみよう
何事も実際に確認してみないことには始まりません。
まずはお近くの市民農園を調べ連絡をとり、詳細を把握したり、実際に見学にいってみましょう。
農林水産省のHPに全国の市民農園一覧表が載っています。
また、「各地域名(●●市) 市民農園」と検索すれば、一覧表に載っている以外の市民農園情報も出るので検索してみてください。
関東、関西であれば民間企業運営のシェア畑が設備の充実した畑が多く、しかも無料で見学できるため、ぜひ確認することをおススメ。
今ならオンライン説明会も随時無料で実施しているため安心です。
